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ロシアとウクライナ間での緊張状態並びに戦況が近づく中、原油価格は100ドルに迫る勢いで急騰

先週、米国の消費者物価が予想を上回る水準で上昇した為、市場に衝撃が走りました。インフレ率は7.5%にまで上昇し、過去40年間で最も速い速度での上昇率を記録しました。

米国連邦準備制度(FRB)は、3月の国債購入スケジュールを据え置きとする事を発表し、中央銀行は、追加買い入れ停止後に金利の引き上げを開始する予定です。

外国為替市場

アジア時間午前中の取引では、米ドル価格は上昇し、全体的に安全資産とし位置付けられる通貨は継続して上昇傾向を維持したものの、リスク傾向の高い通貨は、途中で中だるみとなり上昇傾向を維持する事が出来ずに終わりました。

投資家心理として、米国でのインフレ率の上昇や東欧での戦争の可能性などが懸念材料として挙げられます。

ユーロ価格は前週の高値である1.1495ドルを下回りました。同時に、オーストラリアドルとニュージーランドドルも前週の水準を下回り、ロシアルーブルは先週末金曜日に約2年ぶりの急落を記録する結果となりました。

国際株式市場

月曜日、ロシアがウクライナに侵攻する可能性が示唆され、東欧諸国に大きな緊張が走りました。これを受け株価は大きく下落したものの、国債などの安全資産への需要を下支えする形となりました。

欧州圏内では、先物価格は下落傾向を示しましたが、米国、S&P500とナスダック100の先物価格は、前週金曜日にウォール街で記録された損失の後堅調に推移しました。

国債価格は、先週の上昇分とほぼ同一の横ばいを維持し、ニュージーランドとオーストラリアの債券価格は上昇する結果となりました。

「激化する」東欧情勢

ロシアは、ウクライナへの侵攻計画を否定する一方で、ウクライナ国境付近に軍を集結させており、緊迫状態を解消する為の外交的試みが続いています。これにより、高水準のインフレとそれに対処するための米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な利上げの可能性に苦慮している市場に不確実性が生じています。

ウクライナへの侵攻があれば、ロシアのエネルギーとウクライナの穀物供給が途絶える可能性があるため、価格への圧力がさらに高まる可能性があります。

原油

原油価格は2014年以来初となる、1バレル当たり100ドルに向かって上昇を続けています。これにより、インフレ率がさらに上昇する事となり、世界経済の成長を妨げる可能性があります。

このインフレレベルは、すでに世界中の中央銀行を悩ませており、中央銀行は価格上昇に対抗する為に金融政策引き締めに向かう可能性が高まっています。

貴金属

ゴールド価格は引き続き上昇傾向にある中、同時にパラジウム価格も上昇しています。

貴金属商品価格の上昇は、ウクライナとロシアの緊張関係を筆頭とし、地政学的に不安定な状況と、高いインフレ率による物価の上昇に支えられている形となっています。

ゴールドのような価値ある安全資産への需要が高まる一方で、潜在的な供給不足や供給障害に対する懸念が強く、需要はさらに押し上げられています。

尚、ロシアでは、触媒に使用されるパラジウムの新規採掘量の約40%を生産しています。

今週の注目事項:

月曜日
オラフ・ショルツ独首相、ウクライナへ訪問

火曜日
オラフ・ショルツ独首相、外交協議のためロシアへ訪問
米国PPI

水曜日
EIA原油在庫統計
FOMC議事録
中国CPI
中国PPI

木曜日
G20会議開始
クリーブランド、セントルイス両連銀総裁の講演

金曜日
米国金融政策フォーラム