ウクライナ危機と、インフレ率が40年ぶりの高水準に達したことによる米国連邦準備制度(FRB)による積極的な引き締め政策の可能性は、今年に入ってすでに不安定となっている市場にとって、さらなる浮き沈みをもたらすかもしれません。
米国のジョー・バイデン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談の可能性のニュースは、「侵略の可能性に悩む」市場の損失を一部回復させた模様です。
また、投資家の関心は中央銀行の政策に向けられており、主要市場での利上げの頻度と程度を知る手がかりを求めています。
世界の市場
本日月曜日は、米露首脳会談案の詳細とその結果が依然として不透明であるため、限られた上昇率にて留まる結果となりました。尚、米国市場は祝日のため本日は休場となります。
本日の欧州およびアジアの株式市場は上昇しました。ナスダック100、S&P500、欧州の各限月契約は損失を解消し、約1%上昇しました。
欧州では、1月のドイツ生産者物価が2.2%上昇しました。この上昇率は予想を上回り、欧州中央銀行がインフレ抑制の圧力下にあることを示唆しています。
投資家は、2月のドイツ製造業PMIデータの発表に注目しており、ユーロ圏第2位の経済大国であるフランスのPMI数値は、製造業とサービス業の両方で予想を上回りました。
為替
月曜日は、ユーロが上昇し、ドルが下落しました。ウラジーミル・プーチン大統領がロシアとウクライナの緊張関係についてジョー・バイデン大統領との会談に合意したことで、投資家は安全資産から資金を引き揚げました。
原油
原油は2ヶ月連続で上昇し、7年ぶりの高値を記録した後、先週は損失を計上しました。これは、イランとの核合意に進展の兆しが見られ、市場の供給量が増加する兆候があったためとなります。
月曜日には、WTI原油が値下がりしました。この値動きは、ウクライナ国境での緊張を緩和するための米露首脳会談の可能性に関するニュースが発表されたこと、およびイランから新たな原油が市場に供給されることを意味するイランとの核合意の可能性に起因しています。
一方で、アラビア産油国の閣僚たちは、原油の汲み上げ量を増やすことには同意せず、OPEC+とその同盟国、そしてロシアを含む他の供給国は、現在の日量40万バレルの合意の範囲内にとどまるべきだと付言しました。
安全資産
金や米国債先物が下落するなど、安全資産への需要が低下しました。また、その他の国では、オーストラリアとニュージーランドの債券利回りが低く留まっています。
米国連邦準備委員会と金利
先週、米国連邦準備制度(FRB)高官は、過去40年で最大のインフレに対抗するため、金利の引き上げ案を支持しました。
FRBのラエル・ブレイナード総裁、ジョン・ウィリアムズニューヨーク連銀総裁、チャールズ・エバンスシカゴ連銀総裁は、中央銀行が引き締め政策を開始することに意欲的でしたが、過度に金利を上げることはせず、次回予定されている会議まで引き上げを進めないことを表明しました。
今週の注目事項:
月曜日
米国連邦準備委員会(FRB)総裁の講演
中国不動産価格
中国ローンプライムレート
水曜日
ニュージーランド金利決定
イングランド銀行総裁、財務委員会に出席
木曜日
韓国銀行 政策決定
EIA原油在庫統計
米国連邦準備委員会(FRB)高官の講演
米国新築住宅販売件数
米国GDP
米国新規失業保険申請件数
金曜日
米国消費者所得
米国耐久財
PCEデフレーター
ミシガン大学消費者景況感
今週:
ロシア外相、欧州での米国務長官との会談に合意