海外FXは違法なのか?金融庁の見解やトラブル対処法を徹底解説!

「海外FXでトレードすることは違法?」と気になっている方も多いのではないでしょうか?
結論、海外FX自体に違法性はありません。
この記事では、海外FXの違法性について、日本の金融庁の見解や法律の観点を交えて解説していきます。
また、トラブルが起きた場合の対処法まで解説しているので、これから始めようと考えている方はぜひ参考にしてください。
安全に利用できる海外FX業者を知りたい方は、以下も参考にしてください。

金融庁が警告を発している海外FX業者は違法なのか?
「海外FXが違法なのではないか」と疑念を持たれる原因として、日本の金融庁が海外FX業者へ警告や注意喚起を出していることがあげられます。
なぜ海外FXは警告を受けているのでしょうか?
その内容や理由を金融庁の見解を交えて確認していきましょう。
多くの海外FX業者が金融庁から警告を受けている
金融庁は海外FX業者への警告を定期的に行っています。
これらの業者は日本の金融商品取引法に基づく登録を受けずに営業しており、法規制の対象外です。
そのため、万が一トラブルに巻き込まれても十分な保護が受けられません。
なお、警告を発している海外FX業者のリストや具体的なトラブル事例は、金融庁のWebサイトで公開されています。
日本居住者への無登録勧誘は違法行為という金融庁の見解
なぜ、金融庁が海外FX業者に対し警告を行うのか、理由を考えてみましょう。
前提として、日本でFX会社を営むには、金融商品取引法に基づく登録を済ませなくてはいけません。
加えて、海外に所在する事業者であったとしても、日本の居住者を対象として金融商品取引業を営む場合は、同様に金融商品取引法に基づく登録が求められます。
具体的には第一種金融商品取引業者として登録を済ませる必要がありますが、海外FX業者の大半はこの登録を済ませていないのが現状です。
なお、無登録で金融商品取引業を営んだ場合、以下の刑事罰が科されます。
- 個人:5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金(併科されることもある)
- 法人:5億円以下の罰金
金融庁から警告を受けている代表的な業者について
日本の金融庁のホームページで公開されている「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)」では、無登録でFXなどの金融商品取引業をおこなている業者の名称や住所、取引業の内容や備考など掲載(警告)しています。
気になる業者がある方は、上記のホームページを開き「Ctrl+F」or「Command+F」で業者名を検索してみましょう
金融庁から警告を受けている代表的な海外FX業者をいくつか列挙してみました。
- XM
- GEMFOREX
- Titan FX
- AxiTrader Limited
- HF Markets (SV) Ltd
- FXGT
上記の海外FX業者は、世界的にも有名であり、日本のトレーダーにも広く利用されてます。
しかし、日本の金融商品取引法に基づく登録は済ませていないため、リスクを理解したうえでトレードを行わなくてはいけません。
海外FX業者は高レバレッジやボーナス制度により人気を博していますが、トラブルが起きたらすべて自己責任になるので十分に注意しましょう。
海外FX業者も違法行為を避けるための取り組みを開始
海外FX業者も、日本の金融庁からの警告を看過しているわけではありません。
日本の居住者からの利用を制限する方向で、違法行為を避けるための取り組みを進めています。
具体的な内容や進捗度は各社異なりますが、考えられる施策をいくつか挙げてみました。
- 日本居住者の新規口座開設を受け付けない
- 既存の日本人トレーダーが持つ口座の閉鎖、取引停止措置を取る
- 日本語サポートの中止・縮小
- 日本向けのマーケティング・広告活動の停止
- 日本市場からの撤退の決定
金融庁も一定の条件下では海外FX業者を許容する姿勢を見せ始めている
前述したように、日本人トレーダーに向けて海外FX業者が口座の開設や広告宣伝を行うことには、厳しい規制が設けられてきました。
しかし、昨今はその姿勢も少しずつ変わりつつあるのが実情です。
金融庁Webサイト「X. 監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)」によれば、「外国証券業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引」については、合理的な措置が講じられている限り「国内投資者に向けた勧誘には該当しない」という見解が示されています。
日本人が海外FX業者で取引するのは違法なのか?
多くのトレーダーが気にしている点が「海外FX業者を利用することは違法になるのか?」という点でしょう。
ここからは、日本人が海外FX業者を利用しても良いのかについて解説します。
海外FX業者を利用することに違法性はない
結論からいうと、海外FX業者を利用すること自体に違法性はありません。
前述したように、日本の金融商品取引法に基づく登録を済ませていない海外FX業者が処罰される可能性はありますが、その業者を使った人への処罰に関する規定はないからです。
ただし、何が起きても基本的に自己責任となる点には注意しましょう。
また、海外FX業者を通じたトレードにより得られた利益は税法上、国内FX業者を通じた場合同じく雑所得として扱われます。
ただし、国内FX業者の場合が一律20.315%(住民税・復興特別所得税含む)なのに対し、海外FX業者の場合は利益が増えるほど高くなるので要注意です。
加えて、2025年の確定申告は今年の2月17日~3月17日の間に確定申告を済ます必要があるので、忘れずに手続きをしましょう。
日本国内の法律で規制の対象となっている行為とは
海外FX業者が事業活動において、以下に該当する行為を行った場合、日本の法律に基づき処罰を受ける可能性があります。
無登録での 金融商品取引業の実施 | 金融商品取引法に基づく登録なしに 金融商品取引業を行うことは違法とされており、 厳しい罰則が科されます。 |
---|---|
日本居住者への勧誘 | 海外FX業者が日本の金融ライセンスなしに 日本居住者を勧誘することは違法行為とされ、 これに違反した場合、厳しい刑事罰が科される可能性があります。 |
日本の規制を超えた 高レバレッジ取引の提供 | 日本の法規制で定められた上限を超える レバレッジでの取引を提供することは、 投資家保護の観点から禁止されています。 |
その他 | 不正競争行為など |
海外FX業者からの勧誘を受けたユーザーは違法になるのか
ユーザーが海外FX業者から勧誘を受けること自体に違法性はありません。
自ら積極的に違法行為に加担したならともかく、単に勧誘を受けただけで罪に問われる可能性は極めて低いでしょう。
ただし、明らかに違法とユーザー自身が認識しながらトレードをするのは、道義的に問題があるかもしれません。
また、海外FX業者を使ったトレードでトラブルに巻き込まれても、基本的に自分で解決する必要があります。
自分で解決できそうにない場合は、利用を見送ったほうが無難です。
海外FX業者はなぜ金融庁に登録しないのか
そもそも海外FX業者が日本の金融庁に登録しないのはなぜなのでしょうか?
その理由について説明していきます。
日本の金融ライセンス取得が難しい
日本の金融ライセンス、つまり金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業の登録を受けるのは、非常に難易度が高いのが実情です。
以下の項目について詳細な条件が設けられており、クリアするのは至難の業になっています。
- 資本金要件
- 顧客資金の分別管理
- 内部管理体制の構築
- 定期的な監査、報告の義務
- 決算書・収支計画書の提出
上記の条件を満たせるよう、社内の組織や運営体制を整えるのには、莫大なコストと労力が必要です。
裏を返せば、コストと労力をつぎ込んででも登録をすることに意義があると判断すれば、登録に向けて動くことはあり得ます。
金融庁登録によってビジネス上の優位性が無くなるから
海外FX業者にとって、日本は決して魅力的な市場とはいえません。
たとえば、日本で第一種金融商品取引業として登録を済ませたFX業者の場合、レバレッジは最大25倍までにしか設定できません。
100倍など高いレバレッジでのトレードができなくなるため、顧客離れの原因につながります。
また、金融商品取引法が求める要件を満たす形で運営しなくてはいけません。
定期的な監査や報告義務も課せられているため、新規サービスや商品の導入にも時間がかかることから、市場の変化に迅速に対応しづらくなるのも事実です。
このような背景があるため、あえて日本の金融庁に登録をしない海外FX業者が存在します。
海外FXにおいて違法とみなされる具体的な事例
日本在住のトレーダーが海外FX業者の利用で違法とみなされる事例をご紹介します。
ただ単に海外FX業者を使ってトレードすることは問題ないですが、以下にあたる行為は違法性があります。
- 確定申告漏れによる税金の未納は違法
- 無登録のIBによる電話や訪問での勧誘行為
- 海外FX取引への出資募集行為
- 有料会員制サロンにおける投資助言
- 自動売買システム(EA)の会員制販売
- コピートレードサービスの提供
それでは1つずつ見ていきましょう。
確定申告漏れによる税金の未納
海外FX業者を通じて得た利益は、雑所得として確定申告・納税が必要です。
確定申告・納税が必要なのに期限までに手続きを行わないと、延滞税・加算税の対象となります。
つまり、本来払わなくてはいけない税金にさらに上乗せされた額を払わないといけないので気を付けてください。
延滞税 | 納税期限~2ヶ月までは年7.3%、それ以降は年14.6%で計算した金額が上乗せされる。 |
---|---|
無申告加算税 | 税額が50万円以下までの部分は15%、50万円を超える部分は20%で計算した金額が上乗せされる。 |
重加算税 | 申告漏れが意図的、悪質とみなされた場合、本来納めるべき税金の40%が上乗せされる。 |
また、申告漏れが悪質とみなされた場合、所得税法違反で逮捕・起訴される可能性もあるので、期限通りに申告・納税は行いましょう。
無登録のIBによる電話や訪問での勧誘行為
日本において、IB(Introducing Broker)は金融商品仲介業者としての登録を行わないと勧誘ができません。
無登録での勧誘行為が違法となるうえに、応じて取引をしたユーザーに対する保護も受けられないのが実情です。
万が一、勧誘を受けた場合は、金融庁や消費者庁の関係機関に情報を提供したり、金融犯罪・トラブルに精通している弁護士に相談したりなどして解決を図りましょう。
海外FX取引への出資募集行為
出資を募って資金を運用し、利益を配分する「ファンド」形式のスキームも無登録で行うと、刑事罰の対象となるため注意しなくてはいけません。
シンガポールのFX会社が「高額配当を得られる」と無登録で出資金を集めたことにより、最高経営責任者らが、金融商品取引法違反(無登録営業)として逮捕された事例もあります。
有料会員制サロンにおける投資助言
オンラインサロン運営者が高いリターンを約束し、特定の海外FX業者を強く推奨したうえで、手数料やキックバックを受け取るのは決して珍しくありません。
さらに悪いことに、サロン会員たちは高額な資金を投入したにもかかわらず、その業者が突然の取引停止や出金制限を行い、資金が凍結されるというトラブルも起きています。
いつのまにかサロンは閉鎖し、会員たちは法的保護もなく、多額の損失を被ってしまうかもしれません。
なお、オンラインサロン運営者が個別の投資助言をしていた場合、無登録で投資助言・代理業を営んでいたと判断されます。
万が一、オンラインサロンをめぐるトラブルに巻き込まれた場合は、経緯を整理して警察や金融庁の「金融サービス利用者相談室」、金融トラブルに詳しい弁護士などに相談しましょう。
自動売買システム(EA)の会員制販売
「ハイリターンを保証する」として、特定の海外FX業者の自動売買システム(EA)を高額な初期費用と月額料金で販売されていることがあります。
前提として、自動売買システム(EA)を会員制で販売することは、投資助言・代理業の登録を済ませたうえで行うのであれば違法性はありません。
しかし、不正確かつ高リスクな自動売買システム(EA)は何らトレードには役立たないうえに、運営者と業者が利用者の損失による手数料を得るための詐欺の一手法として行われている可能性が高いのも実情です。
当然、本来済ますべき投資助言・代理業の登録もないことがほとんどであるため絶対に利用しないでください。
コピートレードサービスの日本居住者への提供
これも、先に紹介した自動売買システム(EA)と同様、投資助言・代理業の登録を済ませたうえで販売するのは、何ら問題はありません。
しかし、登録を済ませずに販売されていることが多いうえに、触れ込み通りの成績が得られない、単に手数料をだまし取るだけの粗悪なコピートレードも存在します。
このようなコピートレードを購入するのは、大きな損失を被る可能性があるので、避けてください。
海外FXで違法行為やトラブルに巻き込まれた際の対処法
ここの章では、海外FXで違法行為やトラブルに巻き込まれた際の対処法を解説していきます。
自分を守るためにしっかり確認しておきましょう。
海外FXは自己責任が前提であることを理解する
いずれにしても、海外FX業者は日本の金融商品取引法に基づく登録を済ませていない以上、トラブルが起きても保護の対象外です。
自己責任で動くとともに、トラブルが起きたら冷静に対応を進めましょう。
取引履歴や業者とのやり取りをすべて記録・保管し、警察や精通している弁護士など専門家への相談、金融庁などの監督官庁への報告を行うことが重要です。
信頼できる海外FX業者を慎重に選ぶ
海外FX業者を使って起きたトラブルは、すべて自己責任で対応するのが原則です。
できるだけトラブルを避けるためにも、選ぶ際は、以下のポイントに着目してみましょう。
- 金融ライセンスの確認(海外の法律に基づき適切な登録を済ませているか)
- 運営実績と企業規模
- 顧客資産の分別管理
- 出金の安定性
- 取引環境の透明性
- カスタマーサポートの充実
- 評判と口コミのチェック
- ボーナスやキャンペーンの内容
トラブル防止のための対策を怠らない
トラブル防止のための対策を怠らないことも重要です。
取引を始める前には、適切な情報収集を行い、取引に関する知識を深めておきましょう。
また、取引開始後は、取引履歴や業者とのやり取りを細かく記録し、保管しておくことをおすすめします。
万が一トラブルが発生した際の証拠として役立つからです。
リスク管理として、自分の資金力に見合った取引量を守り、過度なリスクを取らないよう気をつけましょう。
最初は練習もかねて、数万円など少額の資金から始めるのをおすすめします。
IBとして活動する際に違法となる行為を把握しておく
IB(イントロデューシングブローカー)として活動する際は、法的に問題になりうる点を把握しておきましょう。
- 無登録での事業運営
- 広告・情報提供における誇大表現や虚偽の表現
- 顧客の資産の預かり
- 無登録業者の勧誘
- 脱税行為
また、金融庁から警告を受けている海外FX業者との取引も避けたほうが無難です。
たとえ、自分が罪に問われなかったとしても、社会的な信頼性を落とすことにつながります。
過去には、副業セミナーとして人を集めて、勧誘した者たちが25人逮捕されています。
「副業セミナー」と称して人を集め、有償の投資スクールに違法に勧誘したなどとして、大阪府警は、主催した会社の元代表の男ら25人を特定商取引法違反(目的隠匿勧誘、虚偽書面交付)や金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕し、18日に発表した。府警は全員の認否を明らかにしていない。
引用:朝日新聞
そのほかにも無登録で投資勧誘をして、3人捕まっているニュースが上がっていました。
無登録でFX=外国為替証拠金取引への投資を勧誘したとして、福岡県警は男女3人を逮捕し、13日、送検しました。3人は「50万円の投資で1億円を目指す」などと説明していたということです。
引用:日テレNEWS NNN
もし、勧誘を受けた場合登録したIDやパスワードは誰にも教えないようにしましょう。
教えるように催促してくる場合は詐欺の可能性が高いので、注意が必要です。
健全かつ持続可能なビジネスを展開するためにも、コンプライアンスを重視した活動を心がけてください。
専門家(弁護士など)に相談・調査を依頼することも検討する
状況に応じて、弁護士などの専門家に相談・調査を依頼することも検討しましょう。
万が一、法的な問題が発生した場合、どのように証拠を集め、保管をするかなど具体的かつ有用なアドバイスをしてくれます。
海外FX取引にまつわるトラブルの解決には専門的知識と経験が不可欠なので、躊躇せずに相談してみてください。
よくある質問
海外FX業者を通じた取引の違法性に関するよくある質問とその回答を紹介します。
まとめ
今回は、海外FXの違法性について詳しく解説してきました。
- 本来、日本の金融商品取引法に基づく登録を済ませていない海外FX業者が日本人トレーダーを対象にサービスを提供するのは違法である
- 利用した側が罪を問われることはないが、トラブルが起きても自己責任で対応しなくてはいけない
- 利益を得た場合、雑所得として扱われるので確定申告・納税が不可欠
- トラブルに巻き込まれた場合は迅速に関係省庁や専門家に相談を
トラブルが起きても自己責任で対応するのが基本となる以上、海外の法令に基づく登録を済ませている海外FX業者を選びましょう。
また、登録を済ませていたとしても、口コミや評判があまりに悪い海外FX業者は避けたほうが無難です。
加えて、損失を被ったとしても被害を最小限に食い止めるために、最初は少額の資金から始めるなど、資金管理もきっちり行いましょう。