中国経済データ発表は期待外れの結果となり、コロナウィルス感染拡大に伴うロックダウンが世界第二の経済大国として認知される中国に及ぼした甚大な損失が露呈する事となりました。
中国経済の悪化に伴い、アジアの株式市場価格、並びに原油価格も合わせて下落しています。
中国の4月の小売売上高は前年同月比11.1%減となりました。
工業生産高は、アナリストの増加予想に反して2.9%減少し、これにより工業生産高並びに個人消費はコロナウィルスパンデミックが始まって以来の最低水準までの落ち込みを見せています。
株式市場の急落
S&P500(US500)株価先物は0.6%下落し、ナスダック先物は0.5%下落しました。
これでS&P500は6週連続の下落を記録する事となり、両指数とも昨年の高値から大きく乖離しています。
日経平均は、先週2.1%の下落を記録しながらも、今週は0.5%の上昇となりました。
ロシアのウクライナ侵攻後、フィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)に加盟しようとする動きに対して、投資家達は、欧州市場の反応を注視しています。
厳しい経済データに対する中国の反応
中国政府関係者は、景気を押し上げる為の介入を模索し始めており、住宅市場の活性化のため、新規住宅ローン金利の更なる引き下げを許可したものの、一部で期待されていた、金利緩和においては、月曜日、中国当局による1年物政策貸付金利の変更はありませんでした。
中国政府関係者による景気回復への介入に関するこのニュースは、コロナウィルス感染拡大に伴うロックダウン下にあった上海が規制解除となり、6月1日から通常ペースに戻る予定との発表の影に隠れてしまう形となりました。
米国の成長率を下方修正
急激な物価上昇(インフレ)と金利上昇により、5月初旬の米国消費者信頼感指数は2011年以来の低水準まで落ち込み、今週火曜日に発表される4月の小売売上高に注目が集まっています。
金融引き締めにより景気後退を引き起こすのではとの懸念から、先週は債券価格の上昇に拍車がかかりました。
先週の10年債利回りは3.20%の高値から21ベーシスポイント下落しましたが、月曜日には緩和され下落を2.91%としています。
また、米国連邦準備制度(FRB)のタカ派的な態度により、ゴールドマン・サックスは2022年のGDP成長率予想を2.6%から2.4%に引き下げました。
原油取引
原油は、中国経済データの下振れに影響され、1バレル110ドル前後で推移しています。
一方、上海は6週間に渡るコロナ感染拡大に伴うロックダウンの緩和が示唆され、これによりエネルギー需要の増加、並びに原油価格の上昇につながる可能性が予想されます。
仮想通貨取引
投資家が株式市場から撤退したことにより仮想通貨は急落し、本記事執筆時点でビットコインは30,000ドルを下回る水準で取引されています。
今週の注目事項:
月曜日
ニューヨーク連銀総裁の講演
火曜日
ジェローム・パウエルFRB議長の講演
オーストラリア準備銀行 5月政策会議議事録
水曜日
G7財務相・中央銀行総裁会議
ユーロ圏消費者物価指数
英国消費者物価指数
フィラデルフィア連銀総裁の講演
金曜日
中国貸付プライムレート