ウクライナでの戦況の激化と、欧米によるロシアへの制裁強化が市場を動かす大きな要因となっており、市場には大きな衝撃と緊張感が漂っています。
米ドル、ゴールドや国債への投資需要が高まりを見せ、この不透明な状況下で安全資産へのリスク分散傾向が高まりを見せています。
今回のロシアによるウクライナ侵攻、欧米各国からのロシアへの経済制裁により、ロシア国内で生産し高い輸出量を誇る、穀物・エネルギー・金属などの流通が途絶える可能性がある為、各国でさらにインフレ傾向が進む事が予想されます。
本日の株式市場:
米国では、国債が上昇した一方で、欧米の株式先物が急落しました。
ナスダック100とS&P500は下落し、月曜日の取引時間中、米国株式では全体的にダウントレンドラインぎりぎりの所で推移している可能性を示しています。
アジア太平洋地域では、市場は揉み合いの展開となりました。日本の日経平均は上昇しましたが、香港のハンセン(HK50)は下落となりました。
米ドルが優勢
ロシアへの経済制裁措置により、米ドルは他のほとんどの通貨に対して高値で取引されており、世界の基軸通貨に対する需要が高まっています。
同時に、ロシアのエネルギー供給に依存している欧州経済がリスクに直面するであろう事懸念した投資家の動きを受け、ユーロ価格は下落しました。
ルーブルの暴落
ロシアの通貨ルーブルは、モスクワの取引所が開くと同時に8%下落しました。
ロシアを世界の金融市場から孤立させる意図で欧米の経済制裁が強化されたことにより、ロシアの資産全体の流動性が低下しています。一方、ロシア国内では、ルーブル暴落を心配する市民が外貨を引き出すためにATMの前に行列を成しています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ベラルーシで行われたウクライナとロシアの高官による会談に懐疑的な姿勢を示しており、交渉が難航する事が想定されます。
原油ニュース
主要生産国の一つであるロシアからの原油輸送が中断される可能性を懸念し、また、西側諸国がロシアに対して制裁を課し、プーチン大統領が自国の核抑止力を厳戒態勢としたことから、原油価格は月曜日に急騰しました。
ウクライナ情勢が緊迫する中、OPEC+は今週会議を予定しており、4月の日量40万バレルの供給量を据え置く見通しとなっています。
OPEC+は合意した需要分の達成に苦慮しており、1月の生産量が目標水準を97.2万バレル下回ったとの報告も出ています。
同時に、OPEC+は2022年の原油市場の余剰見通しを日量約20万バレル引き下げました。
金属
ゴールドは月曜日の朝、アジアで1%以上上昇し、月間で9ヶ月ぶりの高い上昇率を記録しました。
また、ゴールドの上昇に続き、パラジウムも急伸しました。
インフレへの懸念
各国の物価指数はすでに高い水準を示している中、主要な資源の供給が途絶えた場合、さらに上昇する可能性があります。
投資家は、このことが米国連邦準備制度(FRB)の利上げ計画にどのような影響を及ぼすか考察しています。
現在、2022年の利上げ回数が減少し、市場が市場自身で均衡を取るとされるリフトオフが軟化すると予想されています。
今週の注目事項:
火曜日
ジョー・バイデン大統領による一般演説
オーストラリア準備銀行の政策決定
水曜日
OPEC+会議
ユーロ圏 消費者物価指数
カナダ銀行 金利決定
米国連邦準備委員会(FRB)議長による議会への政策報告
木曜日
ECB 2月定例理事会決算発表
米国連邦準備委員会(FRB)議長の議会向け政策報告
金曜日
米国 非農業部門雇用者数