ロックダウンを終了するなど、やっとコロナウィルス亜種デルタが収束の兆しを見せる中、コロナウィルス亜種として知られるオミクロンの台頭は金融市場を直撃し、経済回復の兆しが失速する結果となりました。また、米国雇用統計発表後、ビットコインを始めとする仮想通貨、日本株で下落傾向を示し、原油や金の価格は上昇傾向にて週を開始しました。
オミクロン台頭による経済回復失速
コロナウィルス亜種オミクロン台頭に対する懸念から、国際通貨基金(IMF)は世界経済の成長率予測を引き下げる可能性があると発表しました。なお、投資銀行として知られるゴールドマン・サックスは、すでに今年の米国経済の予測を引き下げています。
米国における今年度の経済予測を下方修正するだけでなく、このオミクロン型は、感染力が強く国から国へと急速に伝播している事でも知られています。深刻さとワクチンの抑止レベルが今だ不確定である為、医療専門家の公式声明はなく回答が得られるまで数週間かかる可能性があります。
ビットコインと各種仮想通貨
ビットコイン価格は、コロナウィルス亜種オミクロンの台頭と米連邦準備制度理事会タカ派の対応により大きく変動しています。仮想通貨価格は、先月の初めと比して20%以上も急落しています。現在ビットコイン価格は、67,000ドル以上の高値から下落し50,000ドル以下で取引されています。 ビットコインに次ぐ規模の暗号通貨であるイーサリアムは、10%以上下落した後、価格を回復させて来ています。
さらに、仮想通貨投資家にとっては、仮想通貨取引を取り巻く環境や、取扱い業者に対する規制や取り締まりの可能性も気になるトピックです。今週水曜日には、コインベースの幹部をはじめとする仮想通貨取引所や関連会社幹部が、米下院金融サービス委員会で証言を行う予定です。
米国雇用統計
先週末の金曜日に発表された米国雇用統計では様々な結果が明らかになりました。11月の非農業部門雇用者数は21万人となり予想の55万人を下回る結果となりました。また、失業率は4,2%となり21ヵ月ぶりの低水準となりました。
企業の雇用が増加しているにもかかわらず物価水準は依然として高く、受給バランスが均衡を取り戻している様には見えません。米国連邦準備銀行 (FRB) は、労働市場の逼迫を受けて、今月の会合で資産購入の先送りを決定する可能性があり、その為予想より早く利上げが実施される可能性があります。
インフレ懸念
11月の米国消費者物価指数は2021年12月10日(金)に発表される予定です。10月の消費者物価指数は、6.2%上昇し過去30年以上で最も高い上昇率を記録しました。11月の予測値は6.7%でした。 今回も高い数値が出れば、米国連邦準備銀行 (FRB) が早期に先細りしてしまうのでは無いかという見方も出来ます。
原油
本日月曜日、原油価格は1バレルあたり1ドル以上上昇しました。これは、サウジアラビアがアジアや米国で販売する原油の価格を引き上げた事や、米国とイランの間で行われていた核取引の再開に向けた間接的な協議が暗礁に乗り上げた事によるものです。
ゴールド
ゴールド価格はアジア圏では上昇傾向を示しましたが、この上昇は、米国の雇用統計発表による市況への影響がいまいちであった点や、今回の雇用統計が米国連邦準備銀行 (FRB) の決定に与える影響を投資家達が懸念している事を示していると思われます。
株式市場
全体的に日本株価格は下落傾向を示し、東京証券取引所では2136の銘柄が下落、1428の銘柄が上昇、222の銘柄は変動なしとなり、日経平均株価は0.36%下落しました。
今週の注目事項
火曜日
オーストラリア準備銀行政策決定
ユーロ圏GDP
水曜日
インド準備銀行金利決定
オラフ・ショルツ氏、アンゲラ・メルケル氏の後任としてドイツの首相に就任
クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行総裁、会見並びに講演
木曜日
フィリップ・ローワー オーストラリア準備銀行総裁会見並びに講演
中国CPI
中国PPI
金曜日
米国消費者物価指数